第179章

この世界にももちろん銀行はある。とはいえ民間ではなく国営のみで、上層部は帝国の重臣が務めているため信用は盤石だ。

ただし、銀行が発行する「銀行カード」は誰でも使えるわけではない。実態としては高額紙幣に近い存在で、しかも魔法道具。等級がいくつかあり、最低額面でも1万金貨を下回らない。送金や振替の機能も備えてはいるが、利用には専用の機器が必要で、その機器がまた高価だ。小商人には手が出ない。

加えて、カードの操作には魔力、あるいは精神力が要る。もっとも精神力自体は一般人にもあるので、強くはなくとも「使うだけなら」可能だ。だからこそ、カードを扱える身分の者であっても、日常の利便性のために金貨や銀...

ログインして続きを読む